映画感想を中心とした管理人の戯言です。
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【13-041】舟を編む ★★★★☆
category: 2013年の映画レビュー | author: moeru-movie
何となく見送っていた舟を編むをフリーパス鑑賞(4本目)。

玄武書房に勤務する馬締光也(松田)は職場の営業部では変人扱いされていたが、言葉に対する並外れた感性を見込まれ辞書編集部に配属される。新しい辞書「大渡海」の編さんに従事するのは、現代語に強いチャラ男・西岡正志(オダギリ)など個性の強いメンツばかり。仲間と共に20数万語に及ぶ言葉の海と格闘するある日、馬締は下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎)に一目ぼれし……。

またしても自分の中で賛否が分かれる作品となってしまいました。
と言っても、まだ「賛」の割合が多いのでこの採点になってるわけなんですが、全体的にはまあまあ面白かったですよ。
「辞書製作」というテーマは想像もした事のないものだし、登場人物もみんなキャラが立ってて分かり易くて面白い。
タイトルの「舟」とは、劇中の言葉を借りれば「言葉の海を渡る舟」であり、それはイコール辞書そのものだと自分は理解しました。
すると「舟を編む」とは、地道に辞書を紡ぐ(作り上げる)事かな?なんて思いましたが、そんな解釈で合ってるのでしょうか??

時代設定が1995年からと言う事もあり、現代のようにPCやネットも「当たり前」では無かった時代。
(辞書編集部にあった数少ないPCだかワープロだかが大き目だったのを見ても分かる。ちなみに、12年後だとノートパソコンに変わってる)
当然、Wikipediaみたいな辞書サイトも無い時代で、例えば見出し語の突合せ一つとってもとにかくアナログだ。
それゆえに完成までに十何年もかかってしまうと言う「辞書製作」なのだが、作ってる間にも言葉は新しく生まれ、変化し、廃れていく。そしてそれをまた用例採集し、辞書に載せる。まったく終わりのない世界じゃないですか。

と、そんな「辞書製作」の世界は「プロジェクトX」的でもあり興味深く観たのだが、間は急に12年飛ぶし、さすがに映画の尺を全て引き受けるにはネタが続かなかったか。(辞書に使う紙の話とかは良かったが)
その足りない分を引き受けたのが馬締くんのエピソードや人となりの話になるのでしょうか。
ただ、率直な印象としては、かなりの変わり者で、映画的にはOKだが、リアリティには欠けるか?と感じられます。

そんな変人と後に結婚する香具矢さんはとてもいい人です。
馬締くんは明らかに「彼女居ない歴=年齢」タイプだけど、香具矢さんは付き合ってた人が居る設定。
仕事に生きる為に彼氏と別れた風だが、そんな香具矢がけっこう簡単に馬締くんの「好き」という思いを受け止めて「私も」と返してしまうあたりの心理描写は今イチ薄かったような気がします。
それに、この映画のキャラって、みんな凄くキャラ立ちしてて好感持てたのですが、香具矢さんだけは何故か最後まで掴みきれなかったんだよなぁ。
何か必要以上に「いい人」だし(宮崎あおいが演じると、余計にそう感じる)、前述の馬締との付き合いも然り。結婚後、子供も無いまま10年以上もシレっと普通に続いているのも面白味が無い。
板前の仕事も続けてはいる感じだけど、そこにドラマは無いし(終盤に出てきた「月の裏」って香具矢の店って訳じゃ無いんだよね?)、数少ない夫婦間のエピソードも本編ではカットされる始末。(パンフレット話で後述)
冒頭で自分の中で賛否両論と書いたが、「否」の部分がこのような「何か不自然な夫婦」という点なんですよね。。。
辞書作成メインなのか、馬締くんストーリーなのか大黒柱はどっちだろうか?と思うが故に、どちらも薄めに感じられた点がマイナス所でした。

しかし、大黒柱は不鮮明と感じても、やはり(何度でも書くぞ)脇を固めるキャラがとても立ってて良いのである。
落ち着いた監修の加藤剛は年の取り方も実にリアルである。
それは定年退職するベテラン編集者の小林薫も同じだし、馬締とは対極に居るかのようなオダギリジョーや、冒頭から最後まで結局「大渡海」の編集部にいる伊佐山ひろ子、そして馬締くん参入の12年後に配属される黒木華。
この黒木華扮するみどりちゃんが特にいいね。
けっこうギラギラした化粧や髪型で登場し、シャンパンしか飲まないと言い放ってた彼女も1年後には化粧も薄く、服も女度が下がってるし、呑みに行けばビール一気飲みという具合にオヤジ化が加速している様が面白い。
ちなみにギラギラと言えばオダギリジョーの彼女役の池脇千鶴も、メイクが完全に1990年代が再現されているのもオジサン世代には面白い。
更に細かい所にも目を向けると、猫のトラは愛らしいし、劇中で用例採集されるJK軍団を演じていたのが「告白」「悪の教典」の山谷花純、「ふがいない僕は空を見た」「ももいろそらを」の小篠恵奈、「天然コケッコー」「ラブファイト」の藤村聖子と言うのも俺得でした。

そんなわけで、どちらかと言うと馬締のキャラや人生話よりも辞書製作の方に興味を持って観られたと言う事で採点は4点です。
そしてこの映画のパンフですが、サイズは「大渡海」と同じで、途中の頁には、実際に「大渡海」で使われたという体で同じような紙が使われております。
パンフ終盤にはシナリオが出ていますが、本編では最終的にカットされたシーン(居酒屋でみどりが馬締に対して「愛」の語釈に対して異を唱える所や、その後酔い潰れて馬締家で夜を明かす所や、その翌朝、香具矢から例のラブレターに関する話を幾つか聞く所。そして松本さんがどうして辞書を作ろうと思ったかの話など)も幾つか収録されているので、映画を観た後でも再見してみるとまた違った印象を受ける事ができます。
(厚みに比例して価格も高めですが・・・)

パンフレット:B5弱・132頁(厚っ!)・900円

舟を編む

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No.351 舟を編む
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