2011.02.06 Sunday/02:18 |
【11-020】ジーン・ワルツ(ネタバレあり) ★★★☆☆ |
category: 2011年の映画レビュー | author: moeru-movie |
公開初日のジーン・ワルツを早速鑑賞。
帝華大学病院の医師・曾根崎理恵(菅野)にはある疑いが向けられていた。
院長代理を務める廃院寸前の小さな産婦人科医院・マリアクリニックで、禁断の“治療”をしているというのだ。
そこに通うのはそれぞれ事情を抱えた4人の女性たち。その謎を嗅ぎつけたのは、同じく帝華大学病院に勤め、教授の地位が約束されたエリート医師・清川吾郎(田辺)。
「私も一緒に闘っているんです、あの4人の妊婦さんたちと」と主張する理恵は一体、何を計画しているのか。彼女がマリアクリニックに隠した秘密とは。清川は理恵の周辺を探り始める。
「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」の海堂尊原作の医療モノである。
しかし、前述の作品のようなサスペンス性は薄く、産院ドラマと言った方がいいだろう。
この映画に出てくる妊婦さんは4人。
・代理母として双子を身ごもる55歳
・不妊治療のおかげでようやく授かった39歳
・望まぬ子を宿し、中絶したい20歳
・産まれても生きられない障害児を身ごもった27歳
代理母は別として、その他のエピソードは、「映画の中の絵空事」という訳ではない、現実にでも充分に有り得る産科模様である。
そしてこの中では、白石美帆演じる「27歳女」のエピソードが切なすぎて泣ける。
他のエピソードも悪くは無いのだが、観終ってみて、ふと考えた。
この映画の主題は何だったんだろう?と。
そう、恐らくは「代理母出産」こそがメインテーマなはずだ。
しかし、映画では代理母エピソードを特別フィーチャーする訳でもなく、他のエピソードと同等に、ある意味淡々と描いて行く。
そして「この55歳女は、理恵のお母さんだろ?」「そして身ごもってるのは理恵の子だろ?」というのは、かなり早期に想像もついてしまう。
(妊娠した状態で、子宮頸癌の為に子宮や卵管まで摘出という理恵の回想を見て、すぐにピンときました)
本当は、こんな淡々と描かれるエピソードじゃないはずだよね。
現実にこんな事があったら大問題だ。
大問題だからこそ代理母エピソードばかりを重点的に描き、好意的に映し、それで幸せになるものと誘導するかのようなプロパガンダ映画になってしまうのを避けたのか、とにかく大人しく描きすぎている印象でした。
そんな代理母の出産を手伝いながらも、恐らく何のお咎めも無く教授に昇進している清川の姿を最後に見た時、それまで星4つは付けようと思っていたけど、ちょっと疑問を感じてしまい、星を1つ落としました。
観客に考えさせてるんだという見方もあるかと思うけど、それにしてはテーマが重大すぎます。
繰り返しますが、それぞれの出産エピソードはいいんです。感動もします。出産の神秘や奇跡だという事も良く分かります。
しかし、これは映画です。出産ドキュメンタリーでは無いのです。
原作がどうだか知りませんが、日本での「代理母出産」の色々な問題点に背を向けたまま、「みんな産まれてハッピーでした。ちゃんちゃん」で終わってしまったのは非常に残念に感じたのです。
終盤のハプニング三重奏は「医龍かよ!」と突っ込んだし、寝たきりだった浅丘ルリ子が桐谷ちゃんの子を取り上げるウルトラシーンとか、ツッコミ所はありますが、そんな中、次々と産まれてくる赤ちゃんのリアルさにも驚きます。
※あの羊水&血液まみれの赤ちゃんは、ちゃんと生きてる赤ちゃんに見えるけど何なんだ!?と思っていましたが、この後の舞台挨拶で南果歩より「ロボ」であった事が明かされます。良く出来たロボだよ。
まあ、深い事(ミステリーとか)を考えずに「曾根崎先生と4人の妊婦たち」といったドラマとして楽しみたい方はぜひ劇場へ!
◆パンフレット:A4版・24頁・600円
よろしければポチっと投票お願いします。⇒
帝華大学病院の医師・曾根崎理恵(菅野)にはある疑いが向けられていた。
院長代理を務める廃院寸前の小さな産婦人科医院・マリアクリニックで、禁断の“治療”をしているというのだ。
そこに通うのはそれぞれ事情を抱えた4人の女性たち。その謎を嗅ぎつけたのは、同じく帝華大学病院に勤め、教授の地位が約束されたエリート医師・清川吾郎(田辺)。
「私も一緒に闘っているんです、あの4人の妊婦さんたちと」と主張する理恵は一体、何を計画しているのか。彼女がマリアクリニックに隠した秘密とは。清川は理恵の周辺を探り始める。
「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」の海堂尊原作の医療モノである。
しかし、前述の作品のようなサスペンス性は薄く、産院ドラマと言った方がいいだろう。
この映画に出てくる妊婦さんは4人。
・代理母として双子を身ごもる55歳
・不妊治療のおかげでようやく授かった39歳
・望まぬ子を宿し、中絶したい20歳
・産まれても生きられない障害児を身ごもった27歳
代理母は別として、その他のエピソードは、「映画の中の絵空事」という訳ではない、現実にでも充分に有り得る産科模様である。
そしてこの中では、白石美帆演じる「27歳女」のエピソードが切なすぎて泣ける。
他のエピソードも悪くは無いのだが、観終ってみて、ふと考えた。
この映画の主題は何だったんだろう?と。
そう、恐らくは「代理母出産」こそがメインテーマなはずだ。
しかし、映画では代理母エピソードを特別フィーチャーする訳でもなく、他のエピソードと同等に、ある意味淡々と描いて行く。
そして「この55歳女は、理恵のお母さんだろ?」「そして身ごもってるのは理恵の子だろ?」というのは、かなり早期に想像もついてしまう。
(妊娠した状態で、子宮頸癌の為に子宮や卵管まで摘出という理恵の回想を見て、すぐにピンときました)
本当は、こんな淡々と描かれるエピソードじゃないはずだよね。
現実にこんな事があったら大問題だ。
大問題だからこそ代理母エピソードばかりを重点的に描き、好意的に映し、それで幸せになるものと誘導するかのようなプロパガンダ映画になってしまうのを避けたのか、とにかく大人しく描きすぎている印象でした。
そんな代理母の出産を手伝いながらも、恐らく何のお咎めも無く教授に昇進している清川の姿を最後に見た時、それまで星4つは付けようと思っていたけど、ちょっと疑問を感じてしまい、星を1つ落としました。
観客に考えさせてるんだという見方もあるかと思うけど、それにしてはテーマが重大すぎます。
繰り返しますが、それぞれの出産エピソードはいいんです。感動もします。出産の神秘や奇跡だという事も良く分かります。
しかし、これは映画です。出産ドキュメンタリーでは無いのです。
原作がどうだか知りませんが、日本での「代理母出産」の色々な問題点に背を向けたまま、「みんな産まれてハッピーでした。ちゃんちゃん」で終わってしまったのは非常に残念に感じたのです。
終盤のハプニング三重奏は「医龍かよ!」と突っ込んだし、寝たきりだった浅丘ルリ子が桐谷ちゃんの子を取り上げるウルトラシーンとか、ツッコミ所はありますが、そんな中、次々と産まれてくる赤ちゃんのリアルさにも驚きます。
※あの羊水&血液まみれの赤ちゃんは、ちゃんと生きてる赤ちゃんに見えるけど何なんだ!?と思っていましたが、この後の舞台挨拶で南果歩より「ロボ」であった事が明かされます。良く出来たロボだよ。
まあ、深い事(ミステリーとか)を考えずに「曾根崎先生と4人の妊婦たち」といったドラマとして楽しみたい方はぜひ劇場へ!
◆パンフレット:A4版・24頁・600円
よろしければポチっと投票お願いします。⇒
JUGEMテーマ:邦画