映画感想を中心とした管理人の戯言です。
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< September 2010 >>











RECOMMEND
<< 誰も守ってくれない 【上映前】舞台挨拶レポ | main | 【09-007】劇場版 カンナさん大成功です! ★★★☆☆ >>
【09-006】誰も守ってくれない ★★★☆☆
category: 2009年の映画レビュー | author: moeru-movie
舞台挨拶を経て、誰も守ってくれないの本編を鑑賞。

小学生姉妹殺害事件の犯人が逮捕された。犯人は未成年の少年だ。勝浦刑事(佐藤)と三島刑事(松田)は上司の命令でその少年の家族を保護するべく加害者宅に向う。
マニュアルに則り、離婚手続き・すぐに妻の籍に入る形での再婚・娘の沙織(志田)の就学義務免除の手続きが行われ、沙織は勝浦と共にホテルに身を潜める。が、そこもすぐに嗅ぎ付けられ、逃避行を続ける中、加害者少年の母が自殺を図る。。。。


色々考えさせられるテーマである。

未成年による犯罪、加害者家族への過剰な取材・報道、ネットでの暴露・中傷。。。。
映画では、その何れに対しても明確に善悪を付けてはいない。
当然である。
加害者家族を擁護する内容に偏っても、バッシングする内容になっても後味は悪くなるに決まっているし、この映画を製作している側もマスメディアの一員である以上、報道姿勢を露骨に批判する事はできないのも分かっている。
そうなると、問題提起型(見る人の判断に委ねる)というスタイルになるもの当然の成り行きだと理解していた。

が!考えさせられはしたが、色々なシーンに違和感を感じまくった1本でもあった。

まず、この映画のテーマは「家族を守る」という事。
映画では、加害者家族と、それを保護する刑事の家族、そして過去に理不尽な通り魔的な事件で幼い我が子を失った夫婦と3組の家族が取り上げられる。
しかし、そこに「被害者家族」が居ないのである。
柳葉&石田夫婦が被害者家族の心情を代弁するような形にはなっているが、やはり当事者の被害者家族が不在と言うのはアンフェアだと感じてしまった。
幼い子供(姉妹2人も!)を失い、一番傷ついているだろう遺族、一番に守らねばならぬ遺族、それを描かないとはどういう事なのか?

一方、警察は序盤から加害者少年の妹を守る為にカーチェイスまでして報道を振り切る。
このシーンもとにかく過剰(大袈裟)な印象だ。
加害者家族を取材する事は当然あるだろうが、未成年の兄弟の写真を撮る(どうせ撮っても紙面には載せられない)為にそこまでするのか?
また、刑事側も一般人を乗せたまま危険なチェイスをするか?と違和感ありありです。
(個人的にはこのカーチェイスシーンは全く不要と感じた)

そして、佐々木蔵之介扮する記者が勝浦刑事に発する台詞「迫害されて当然だ」「みんな死んで償えと思ってる」。
そういう感情が湧く事は理解できても、直接声に出して言うとは過激である。何様のつもりなのだろうか??
うーむ、このあたりにも違和感が。。。。

そしてそして、最も違和感が大きいのは、志田未来扮する加害者妹である。
映画を見る前は、さぞかし全く罪も無く、同情できるキャラなのだと思っていた。
が!結論から言うと、最後までこの娘には全く同情する事ができなかった。
いや、むしろ憤りすら感じてしまった。

「携帯見られたら死ぬ」などと我が兄が2人の命を奪った容疑で引っ張られたというのに軽々しく「死」を口にする。
そして「何でこんな目に合わなきゃいけないの?」「警察のせいだ」と自己中心的である。
更に、ペンションに訪ねてきた彼氏と談笑するに至っては無神経も甚だしいと違和感もピークに。
極めつけは、犯行後の兄の姿を目撃していた事。
彼女はそれも「家族を守る」と思っていたようだが、それは「守る」でなく「隠匿」ではないのか?
もっとも、中学生という設定からして、大人が持つべき道徳観を求めるのも酷なのかもしれないし、血の付いた手を洗ってた所を目撃したというだけでは姉妹殺人まで結び付けられないという点も理解できるので余計にもどかしい。

そんな妹をペンション内で事情聴取する刑事の高圧的な態度にも違和感が感じられるし、後半で出てくるネット厨の描き方(リュック背負ってバンダナ巻いたいかにもアキバ系。。。っていうか、今どきこんな典型的なの居るの?ってくらいベタな人)に至っては違和感というよりも悪意がある偏見というものも感じてしまった。

他にも、勝浦刑事が発する「一緒に暮らしてきた家族を失う点では加害者家族も被害者家族も同じ」という台詞があるが、それにも全く共感できない。
少なくとも被害者家族には失う理由は全く何もない。「失う」のでなく、他者によって突然「奪われる」のである。
しかし加害者家族には責任がある。失うだけの理由がそこにはある。
同じ加害者家族を描いた「手紙」という映画があった。
「手紙」では、加害者家族が辛い目に合う事について「罪を犯すという事はそういう事」と言い切り、加害者は被害者の命を奪い、遺族に心の傷を負わせるだけでなく、自らの親族にも過酷な運命を背負わせるというふうに言い切っていた(と思う)点では、好感度は断然上であった。

映画の方は、あまりにもイイ人すぎる柳葉夫妻(途中取り乱す所はあったものの、菩薩のような人たちでした)との別れを経てオチらしいオチもなく(落とせない事は分かっているが。。。)映画は終わる。
約2時間、飽きる事無く見られたものの、最後まで同調できる所無く終わってしまった感じだ。
まあ未成年が幼い姉妹を殺すという極めて異常な事件を背景にしているが故に、現実味が薄く理解できない点があるのも仕方ないとは思うが、それを差し引いてもやはりこの映画の主張を認められないというのが自分の結論である。

もっとも、そういう考え方でも他の考え方でも、この映画を見た人が何を考え、何を感じるのか、それを提起するのが作り手の狙いだとしたら、そういう意味では成功なのかもしれない。

キャストについても触れておこう。
概ね良かったが、同年代の役者と比較してもレベルが違う程うまいと思っている志田未来ちゃんの芝居が、上記のような違和感のおかげで受け入れ難かった点(芝居自体はよかったが、沙織というキャラは受け入れ難かった)は気の毒である。
また、佐々木蔵之介演ずるキャラクターが中途半端な立ち位置(特に後半は出番が少ない)だったのも残念。
そして、この人に触れずにはいられない。未来ちゃんの彼氏役の冨浦くんである。
「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」のようなコミカルな映画にはハマる彼独特な声だが、この映画では非常に浮いている。
もっと言えば不快だと感じ、個人的には大ミスキャストでした。

とにかくこの映画、見た後であーでもない、こーでもないと色々議論が盛り上がる映画でしょう。
皆さんは何を感じ、何を考えますか?

あ、最後に、この映画は特に前半にハンディカメラ映像が多用されています。
ハッキリ言って鬱陶しいです。(気分が悪くなる程では無いが、手ブレ画像+多数のカメラのフラッシュのシーンはかなり不快)
流行りと言えば流行りなのかもしれないが、いい加減に「ハンディ使えばドキュメンタリー風で緊迫感が出る」みたいな短絡的な動機での使用は止めて欲しいものです。

誰も守ってくれない

よろしければポチっと投票お願いします。⇒
comments(0) | trackbacks(0) |PAGE TOP↑






この記事のトラックバックURL : http://blog.moeru-movie.com/trackback/922721
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
LINKS
PROFILE
OTHERS
SEARCH