映画感想を中心とした管理人の戯言です。
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【20-059】望み ★★★★★
category: 2020年の映画レビュー | author: moeru-movie
コロナ対策の「1席おき販売」がTOHOシネマズでも次週(16日)から解除となりますが、その前に望みを鑑賞です。

一級建築士として活躍する石川一登(堤)は、誰もがうらやむような裕福な生活を送っていたが、高校生の息子が無断外泊したまま帰ってこなくなってしまう。
その行方を捜すうちに、彼が同級生の殺人事件に関わっていたのではないかという疑いが浮上してくる。
たとえ被害者であろうとも息子の無実を信じたい一登、犯人であっても生きていてほしいと願う妻の貴代美(石田)。
二人の思いが交錯する中、事態は思わぬ方向へと突き進んでいく。


愛する家族が「加害者として生きている」か、「被害者として亡くなっているか」の2択の何れかという状況が色濃くなっていく中、親や兄弟は何を思うか?という映画です。
これまで「加害者の家族」にフォーカスした映画はありましたが、今回は加害者と決まった訳ではない状況です。

結果、個人的には刺さりまくりました。辛く切ない気持ちになります。

タイトルの「望み」ですが、母親は「例え加害者であっても、とにかく生きていて欲しい」であり、父親は「息子はそんな事をするはずが無い。やってない」(それは同時に、被害者として亡くなっている可能性が高い事を意味する)と信じている。そして妹は、自分の受験が近い事を心配して「お兄ちゃんがそうだったら(殺人者だったら)困る」と揺れる。
どの人の思いも間違っていない。親であれば当然の心理だし、幼い妹にしたら、自分が大事と思う気持ちも当然。
そんな3者3様の思いが交錯する形で話は進みます。

当事者家族がそういった非常に不安定であやふやな状況の中、マスコミはさも加害者家族であるかのような容赦ない「報道」と言う名のリンチを加え、ネットでは憶測や中傷の嵐。
そればかりか、自宅には卵が投げられ、壁には落書きされる。
劇中では描かれないが、現実であればYouTuberが現れて実況するといった事もあるだろう。
家族の安否が分からない中、こんな事になったら頭がおかしくなってしまうだろう。

物語的には、息子が関わった事件を追うという視点では無い(断片的には分かるが、詳しい事は全く伝わって来ない)ため、一見すると退屈になりがちだが、それでも緊張感を切らさず見せられるのは、主人公家族に同化していた証拠でしょう。
個人的に、涙腺が切れてしまったシーンとしては、上記のような不安定な状況の中、常に気を張ってきた母親(石田ゆり子)が、母(市毛良枝)の訪問を受け、母親の手料理を口にすると、糸が切れたように泣き始めるシーンにグッときました。
これも「母と娘」の家族ストーリーの1つでしょう。

結果、息子がどうなったかはネタバレになるので書きません。
どう転んでもハッピーエンド(加害者でも無く、生きて帰ってくる)にはならないわけですが、個人的には納得の結末でした。

そんな感じで話自体はシンプルゆえに、演者の芝居で見せられるわけですが、こちらは皆さん見所十分。
堤真一は話が進むにつれて、くたびれたオジサン化していく姿が印象的。
石田ゆり子は、あれで50代というのがかえってアンマッチに見えちゃうけど、息子を思う母親の凄みすら感じさせられました。
そして妹の清原果耶は、実は私はこの子が出ているからこの映画を観たと言っても過言では無いくらい注目しています。
この映画でも、非常にリアルな妹芝居で良心とはまた違った視点でこの映画の1ピースになっています。
息子役の岡田健史くんは、行方不明設定なので専ら回想シーンのみ登場なんですが、「加害者・被害者どちらにも転びそう」な存在感がありました。

他に印象的なのは、終始能面のような無感情芝居だった刑事役の早織と、ここでは人情的にすら見える加藤雅也刑事の2人。
あとは行方不明息子が加害者で無い事を訴える同級生(?)の女の子がどこかで見た事あるなと思ってたら、「生理ちゃん」で二階堂ふみの妹役を演じ、実際に舞台挨拶で本人も見ていた松風理咲ちゃんでした。

振り返って、この映画のような話は決して映画の中の事とは割り切れないです。
実際、有名な所では「松本サリン事件」や「香川・坂出3人殺害事件」では加害者扱いされる事案もあった。
その要因となるのはマスコミだったりネットの根も葉もない噂だったりする。
「こいつが犯人に決まってる」と頭の中で思うのは自由だ。
しかしこの映画の中のように、当事者・その住居・職場にわざわざ出向いて実力行使に出る事はあってはならないと思うのですよ。
日本って、結局「推定有罪」なんだよね・・・・。

そんなわけで、週末休日の昼間に観るのは重い映画なんですが、とても考えさせられる映画なので、お勧めします。
※パンフの記事にネタバレがあるので、購入した人はうっかり鑑賞前に見ないように注意です。

最後に、父親が建築士で、自分のデザインの洒落た豪邸に住んでいるが故に、お客さんを自分の自宅に招き入れて内見させるシーンが序盤にある。
息子や娘も自室に居る中、前触れも無く見ず知らずの人に自室をジロジロ見られ、「受験なの?どこ受けるの?」なんてズケズケ聞かれるのは滅茶苦茶嫌なんですけど、ああいう事って現実的にあるんですかね・・・。
(あれで良く子供が反抗的にならずに育っていると感じちゃったよ・・・)

◆パンフレット:850円

望み

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